日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2B-9
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口頭発表
国産鶏肉に含まれる薬剤耐性菌(特に、基質特異性拡張型β−ラクタマーゼ産生腸内細菌科細菌とカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌)の分布
*石田 千津恵島本 敏島本 整
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抄録

【目的】抗生物質の使用による薬剤耐性菌問題に対して,ヒトと動物の垣根を超えた世界規模でのワンヘルス・アプローチの推進が求められる。薬剤耐性菌は,抗生物質が効かないまたは効きにくい細菌のことで,医療機関や畜水産業,食品など様々な環境に存在する。食肉や魚介類だけでなく野菜の汚染も報告されており,特に野菜や魚介類は,生で喫食する機会も多いため,ヒトの体内で薬剤耐性が広がり,新たな薬剤耐性菌の誕生につながる恐れもある。このリスクを明らかにすることは食品衛生上極めて重要である。薬剤耐性菌が抗生物質に耐性をもつメカニズムの一つに,β-ラクタマーゼ等の酵素による抗生物質の不活化がある。本研究では鶏肉を対象に,広域β-ラクタマーゼである基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)と,カルバペネムを含むほとんどのβ-ラクタム薬を分解するカルバペネマーゼを産生する腸内細菌科細菌(CPE)の分布を調査した。

【方法】市販の国産鶏肉を部位別に採取し,BPW(緩衝ペプトン水)で処理後,前培養および本培養した。本培養培地にはアンピシリン100 µg/ml添加マッコンキー培地を用いた。一般生菌数測定,ESBL産生腸内細菌科細菌とCPEのスクリーニング選択分離を試みた。

【結果・考察】ムネ肉,ササミ肉,モモ肉,ハツ,砂肝,手羽肉,レバーにおいて103〜106 CFU/gの一般生菌が存在していた。特に砂肝においては,106 CFU/gと他の部位に比べ多い傾向であった。ESBL産生腸内細菌科細菌はいずれの部位からも確認され,CPEはムネ肉,ササミ肉,モモ肉,手羽肉に確認された。今後は,生化学試験および遺伝子解析を実施し,食品由来の薬剤耐性菌の解明に取り組む。

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