日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2B-8
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口頭発表
煎茶の味における苦味の影響
*劉 尭?長尾 昭彦小林 三智子
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抄録

【目的】近年、お茶中の苦味物質であるカテキンやカフェインなどに関する研究が多くみられる。しかし、実際に抽出したお茶中の苦味を変化させ、味と風味に与える影響についての研究はほぼない。本研究では、煎茶中の苦味が煎茶の味に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、抽出した煎茶の味における苦味の影響を中心に検討した。

【方法】試料は5種類の煎茶とし、抽出方法は水出しを用いた。味認識装置を用いて、抽出した煎茶を分析し、それぞれの固有味を把握した。苦味を調整するために煎茶の苦味物質の1つであるカフェインを添加し、HPLCを用いて煎茶中のカフェイン含量を分析した。3段階のカフェイン含量の煎茶を試料として、TI法、TDS法および TCATA法を用いて、官能評価を実施した。味認識装置のデータ、官能評価の結果および試料中の苦味の量を比較して、総合的に考察した。

【結果】味認識装置を用いて、5種類の煎茶を分析した結果、煎茶の品種、火入れ温度および火入れ時間により、特に渋味とうま味の変化が大きいことが認められた。HPLCにより、5種類の煎茶中のカフェイン量を測定した結果は13.8 mg/100 ml〜19 mg/100 mlであった。順位法による官能評価の結果、苦味の強さにより煎茶の濃さが変わることが明らかになった。3段階のカフェイン含量の煎茶をTI法で評価したところ、カフェイン含量が多いものでは(多いものほど)苦味を一番強く感じる時点が遅くなった。煎茶の苦味の強さによって、後味に影響を与えた。苦味が強くなると、うま味を感じるのか遅くなり、さらに、うま味を感じ難くなった。

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