【目的】大麦は多くの健康機能性が報告されているが、グルテンを形成しないため、製粉された大麦粉のみを用いた膨化製品の製造は困難であるとされている。我々は大麦の健康機能性を実生活で活用するために、大麦粉を用いた各種膨化製品の加工利用法を検討してきた。本研究では、家庭でも容易に調理できる大麦粉蒸しパンの調製条件を提案するために、膨化基質となり得る起泡卵白を加え、その品質と嗜好性を評価した。
【方法】小麦粉蒸しパン(対照)と大麦粉蒸しパンそれぞれの配合は、予備実験をふまえて各粉100 gに対して、BP(3g)、卵白(60 g)、卵黄(40g)、上白糖(45 g)、サラダ油(12g)とし、換水値は小麦粉で130%、大麦粉で155%となるよう加水により調整した。蒸しパンに配合する起泡卵白のオーバーラン(OR)は0,150,300%の3区分とし、その気泡状態は実体顕微鏡にて観察した。プリン型(120 mL)に流し入れたバッター(50g)は電気蒸し器で20分間加熱し、放冷後、体積(菜種法)を測定した。品質と嗜好性は、破断特性および官能評価により評価した。
【結果・考察】起泡卵白を配合すると、小麦粉と大麦粉の各蒸しパンの体積に有意な差がなくなった。また配合卵白のORが高くなると、いずれの蒸しパンも破断歪率が高く、破断エネルギーが低下し、よりしなやかでソフトな品質になることが示唆された。蒸しパン表面に凹凸が生じ蒸しパンらしい形状が損なわれるOR300%卵白配合を除き、各大麦粉蒸しパンを官能評価した結果、香り、味、食感、総合評価において、OR150%卵白配合蒸しパンは、小麦粉蒸しパンと同程度に好まれ、小麦粉の代替利用条件として適していると判断した。