主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2021年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 実践女子大学 日野キャンパス
開催日: 2021/09/07 - 2021/09/08
【目的】米粉はグルテンを含まないため製麺が難しく、麺類についてはまだ製品の数は少ない。米粉で生パスタを調製するにはグルテンの代わりとしてつなぎとなる副材料が必要である。本研究では、コシのある米粉生パスタ麺を開発するために、粘度を向上させる米ゲル(高アミロース米をダイレクトGEL転換したもの)を使用した。さらに粘度を安定化させる架橋澱粉(加工澱粉)との併用も試みた。
【方法】米粉(うるち米)、食塩、オリーブ油、鶏卵とグルテンの代わりとなる副材料を使用し、3種類の米粉生パスタ麺を調整した。副材料としては、米ゲル、リン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉を使用した。タピオカ澱粉を副材料として使用した米粉パスタ麺を対照として比較した。製麺については、押し出し式製麺機を使用し太さ2.0mmの麺を調整した。熱湯中で1分間加熱後、すぐに氷水で10秒間冷却し、ゆでパスタ麺とした。物性測定については、ゆでパスタ麺を約10cmに切り、破断試験を行った。破断試験にはクリープメータを用いた。一つの試験区につき3点の試験を行い、平均値を算出した。米粉生パスタ麺3種類について、大学生26名をパネルとし、ゆでパスタ麺を2分以内に提供し、評点法を用いた官能評価を実施した。
【結果】米ゲルが米粉生パスタ麺の物性に与える影響としては、米ゲルのみ使用した試料は、破断強度の値はタピオカ澱粉のみ使用した試料に比べ高く、加工澱粉と併用した試料はさらに高い値を示した。米ゲルが米粉生パスタ麺の嗜好性に与える影響としては「つや」、「弾力<こし>」、「なめらかさ」、「におい」、「味」、「総合評価」の全6項目において、各試料間での有意な差は認められなかった。