日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1A-6
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口頭発表
コンニャクまたはサバを内容物としたパウチ詰レトルト食品における塩化ナトリウムの浸透量の測定
*謝 裕基
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抄録

【目的】食品への調味成分の浸透は製品の品質を左右する大きな要素であるが,容器詰レトルト食品については密封後に改めて外部から食材や調味成分を追加することはできないため,容器内部における調味成分の物質移動に関する知見の収集は容器詰レトルト食品の製造方法の設計に有用である.この観点から,コンニャクおよびサバを固形物とし,調味成分として塩化ナトリウム(NaCl)に着目した容器詰レトルト食品を製造し,固形物へのNaClの浸透量の測定を行った.

【方法】前処理したコンニャクおよびサバを注液とともにレトルトパウチに充填した.注液には3種類の濃度のNaCl水溶液,または醤油を基に作製したモデル液を使用した.密封したレトルトパウチを120°Cで35分間殺菌し,25°Cにおいて一定期間保存した後に固形物(コンニャク,サバ)のNaCl含量(q[mg/g])および外液のNaCl濃度(C[mg/mL])を測定した.

【結果】コンニャクおよびサバに対するNaClの浸透量(q)を,外液のNaCl濃度(C)で除することによって分配係数(KD=q/C[mL/g])を算出した.注液としてNaCl水溶液を用いた時のKDはコンニャクおよびサバのそれぞれに関して約0.76および0.40mL/gだった一方で,モデル液を用いた時のKDは約0.74および0.48mL/gと,類似した値を示した.この結果から,パウチ詰レトルト食品の製造においては,単一成分系の溶液を注液として使用した実験から,複数成分系の注液を用いた時の食材への調味成分の浸透量を推測できる可能性が示唆された.

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