主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2021年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 実践女子大学 日野キャンパス
開催日: 2021/09/07 - 2021/09/08
【目的】ムクナ豆はL-3,4-dihydroxy-phenylalanine(以下、L-DOPA)を5-9%含有するインド原産の多収穫のマメ科植物である。L-DOPAはパーキンソン病治療の補助剤にも用いられるが、通常は一度に多量摂取すると下痢や嘔吐を引き起こす。本研究ではムクナ豆をペースト状にすることでL-DOPAを減らし、それをハンバーグの副材料とした場合の最適調理条件および抗酸化性について検討した。
【方法】ムクナ豆ペーストと組み合わせる肉の種類について、鶏肉、豚肉、牛肉の3種の挽肉を比較した。ムクナ豆ペーストは通常のハンバーグの副材料と置換した。ムクナ豆ペーストの配合量は牛肉に対して30〜90%として、焼成後の形状、色、物性、L-DOPA、抗酸化能の測定および官能評価を行った。抗酸化能はDPPH法で測定し、得られた値からDPPHラジカル消去率(%)を算出した。
【結果・考察】ムクナ豆ペーストのL-DOPA量は0.00074g/100gであった。ムクナ豆ペーストと組み合わせる肉は官能評価と各測定結果から総合的に判断して牛肉が最適とされ、鶏肉、豚肉の順であった。肉に対するペーストの割合は、重量減少率、硬さと官能評価より35〜45%が適するとされた。抗酸化能は、ムクナ豆無配合ではラジカル消去率7.7%であったが、配合率50%では42.0%、70%では57.7%、90%では62.1%と、ムクナ豆ペーストが多く配合されるほど高い抗酸化能が認められた。これらのことから、ムクナ豆ペースト入りハンバーグは、L-DOPAが十分に除去されるだけでなく、卵無でも良好な食感であり、高い抗酸化能を有する機能性の高い調理品であるといえる。