【目的】これ迄に,カブとキャベツについて甘味に着目して蒸し調理の嗜好特性を検討してきた。本研究では,蒸し調理したキャベツの嗜好特性についてさらに知見を得るために,調理時間を変え,また,ゆで調理及び電子レンジ調理と比較しながら,理化学評価と官能評価により調理方法別に嗜好特性を検証した。
【方法】キャベツの中葉を1cm×5cmに切り試料を調製した。調理方法は蒸し調理(4分,8分,12分),ゆで調理(2分,4分),電子レンジ調理(600W,30秒)とした。物性測定にはクリープメーター(RE-3305S,山電)を用いた。糖の分析はFキットによりブドウ糖,果糖,ショ糖を定量した。官能評価は女子大学生22名を対象に,甘味,かたさ,ジューシーさ,総合評価等について,非加熱試料(生)を基準(0)にして両極7段階採点法で行った。
【結果】最大荷重値(かたさ)は,蒸し調理とゆで調理では加熱時間に伴い生試料よりも低下したが,電子レンジ調理では生と有意差がなかった。糖含量は,蒸し調理試料では生と比較して増減がなかったが,ゆで調理では時間経過に伴い減少し,電子レンジ調理後の試料は重量が減少し糖含量は増加した。官能評価では,蒸し調理試料の評点中央値は正の値で基準(生)よりも甘いと評価されたが,甘味と総合評価は調理時間の異なる試料間で有意差がなかった。ゆで調理2分の試料は,4分よりも甘味と総合評価が有意に高値であった。電子レンジ調理試料は蒸し8分と同程度に甘いと評価された。相関分析より,蒸し調理では甘味とジューシーさが,ゆで調理では甘味が,電子レンジ調理では甘味とジューシーさが総合評価に関与しており,3つの調理方法に共通して加熱キャベツの好ましさに甘味が関与することが示唆された。