【目的】先行研究において、おいしいポテトサラダの特徴として、マヨネーズの風味持続性とサラダの口当たりの2つのバランスが、素材の素材の風味を立たせ好ましいとされている。またこの状態を工業的に再現するには、乳化状態をコントロールしたマヨネーズの使用によって可能であると示唆された。一方、一般的な真空包装された袋詰めポテトサラダは、サラダ中の含気が少なく、素材の密度が高くなる傾向のため、マヨネーズの風味持続性が高まり、口当たりが重くなる課題がある。そこで今回、静菌処理として超高圧処理した袋詰めポテトサラダにおいてマヨネーズの乳化状態による風味への影響について検討した。
【方法】
1.乳化粒子の大きいマヨネーズ
2.乳化粒子の小さいマヨネーズ
3.1と2をブレンドさせ、乳化粒子を混在させたマヨネーズ
上記の調製した3種類のモデルマヨネーズを、羽根型粘度計を用いた評価手法にて口溶けを評価した。また同試料を用いてポテトサラダを作成し、超高圧処理を施したサンプルについて分析型官能評価の実施と、共焦点レーザー顕微鏡によってサラダ中のマヨネーズの乳化状態を確認した。
【結果・考察】
上記の評価方法によって得られた結果より、以下の3点が示唆された。・マヨネーズの乳化粒子分布状態によって口溶けに差があった。・マヨネーズにおいて超高圧処理による重篤な乳化破壊などの傾向はなく、ポテトサラダの状態でも元の乳化粒子分布を維持していた。・3のマヨネーズを使用したポテトサラダが、マヨネーズの風味持続性と口当たりのバランスが最も良く、後味にジャガイモの風味を感じられた。以上より、先行研究の技術を用いることで、袋詰めポテトサラダでも口当たりの重さが軽減でき、好ましさが高まることが確認できた。