日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1B-3
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口頭発表
ナスの加熱調理による嗜好性と抗酸化性の変化
*粟津 虹高畷 晶子森 太郎久保 加織
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抄録

【目的】日本各地で栽培され、様々な料理に利用されているナスは、加熱調理して食することがほとんどであり、調理後の評価が必要であると考えられる。本研究では、ナスの調理特性を明らかにすることを目的として、F1品種および滋賀県在来ナスの加熱調理後の嗜好性と抗酸化性の変化について評価した。

【方法】滋賀大学教育学部の農場で栽培し、2019年7月中旬から10月上旬にかけて収穫した千両二号および滋賀県在来ナスの杉谷なすび、高月丸なす、下田なすの計4品種を実験に供試した。煮調理ではかつお出汁で煮た後に醤油で味付けし、焼き調理では果実をオーブンで加熱した後に果皮を取り除いた。抗酸化性はDPPHラジカル消去活性とAAPHラジカル消去活性で評価し、総ポリフェノール含量も測定した。官能評価は、2019年と2020年に滋賀大学教育学部の学生をパネルとして、調理ナスの味や好みについて5段階評点法により実施した。

【結果・考察】DPPHおよびAAPHによる抗酸化性評価では、生と加熱調理のどちらにおいても、千両二号と在来ナス3品種との間に差は認められず、生より焼き調理で抗酸化性が高いことが明らかとなった(p<0.05)。総ポリフェノール含量においても、品種間に差は認められず、いずれの品種でも加熱調理後の方が生より高かった(p<0.05)。総ポリフェノール含量とDPPHラジカル消去活性との間には正の相関、総ポリフェノール含量およびDPPHラジカル消去活性とAAPHラジカル消去活性との間には負の相関が認められた。これらのことから、焼き調理で抗酸化性が高まることが示唆された。官能評価では、焼き調理後の杉谷なすびは他品種よりも渋みが強いと評価され、杉谷なすびの味の濃さは渋み由来であると考えられた。

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