日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: A-13
会議情報

口頭発表
米菓における水溶性食物繊維イソマルトデキストリン添加の検討
*米山 陽子三星 沙織黒瀬 真弓平尾 和子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】近年、菓子類にも健康機能を付加するものが増えているが、米菓には少ない。本実験では、生活習慣病の予防に効果的でありながら、日本人の1日の摂取目標量が不足している食物繊維に注目し、糖質が主成分である米菓への水溶性食物繊維を添加することによる影響について検討した。

【方法】既報の方法を用いて、国産米菓用うるち米をロール法粉砕した米粉(40メッシュ)に、水溶性食物繊維イソマルトデキストリン((株)林原)を5%および10%添加したせんべいを調製した。物性は,テクスチャー測定と破断特性測定(RE2-3305B:山電(株))を行い、実体顕微鏡((株)島津理化STZ-171)による組織観察も行った.官能評価は7段階評点法を用い、教職員専門パネル10~20名で評価した。

【結果・考察】米粉にイソマルトデキストリンを10%添加すると、焼成前の生地は付着性が低下し、せんべいはコントロールに比べて破断応力およびもろさが大となった。せんべいの生地の硬さとせんべいの破断応力・もろさの間には、それぞれ危険率5%で有意の相関が認められた。実体顕微鏡による組織観察では、イソマルトデキストリンを添加したせんべいは組織が緻密で細かい気泡が多く観察された。官能評価では、試料間に有意の差はなくコントロールと同等の評価を示したが、自由記述においては、10%添加することにより、サクサク感やザクザク感などの好ましい食感を示す旨の記述がみられた。これらの結果より、せんべいの副原料の一つとしてイソマルトデキストリンを添加することは、新たな付加価値を付与するとともに、「高い旨」の栄養強調表示に相当する10%を添加してもコントロールと同等に製造できることが示唆された。

著者関連情報
© 2022 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top