日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-74
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ポスター発表
NHK「きょうの料理」にみる1990年代以降の汁物の献立の変遷について
*伊藤 知子安藤 真美
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抄録

【目的】汁物は様々な具材を使うことができ、献立の栄養バランスを取る上で便利な調整役を果たすことのできる料理である。しかし、一方で塩分の摂取量を上げる原因となりやすいことから敬遠されることもある。日本人の食事摂取基準(厚生労働省)において、1日の塩分摂取量(食塩摂取量)の基準は、改訂ごとに引き下げられ、2020年版では男性7.5g未満、女性6.5g未満とされている。本研究は、日常の食生活記録ではないものの「時代の半歩先に出る」というコンセプトで作られ食の変遷を示す資料であると考えられるNHK「きょうの料理」に掲載されたレシピから、汁物に含まれる塩分量を中心に検証を行い、献立の変遷について明らかにすることを目的とした。

【方法】1990~2015年に発刊されたNHK「きょうの料理」テキストを5年ごとに調査した。汁物の献立について、だし汁の量(牛乳、トマトジュース等の液体を含む)、具材重量、塩分量を算出し、その変遷について分析を行った。

【結果・考察】汁物の掲載献立数は1990年:76、1995年:75であったが、2000年は114と増加しており、以降、2005年:95、2010年:81、2015年68と減少していた。塩分量は1食で2.0gを超えるものも多かったが次第に減少しつつあった。だし汁の量は1990年では1人分200gを超えるものが多かったが、次第に減少傾向にあった。年々、減塩の必要性が重要視されるようになったこととの関連が推察された。また、1990年は「建長汁」、「国清汁」など郷土料理としての汁物の掲載がみられたが、近年になるほど具材等がわかりやすい料理名称が増加した。

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