主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2022年度大会(一社)日本調理科学会
開催地: 兵庫県立大学
開催日: 2022/09/02 - 2022/09/03
【目的】名寄市のある道北地域の郷土料理や地域でとれる食材を使用した創作料理、食情報をまとめ、四季それぞれのレシピ集として地域で配布し、受け継がれてきた料理や食文化、地域に適した調理方法等を次世代に伝えていくことを目的とした。
【方法】道北地域において収穫・生産される食材を使用した郷土料理・家庭料理・加工品について、名寄市の食生活改善推進員等より聞き取り調査を行った。調査で取り上げられた食材の中から、各季節にあった食材を選定し、北海道の伝統食レシピ等を参考にして試作を行い、レシピ集を作成した。レシピ集には食材の歴史や文化、品種や栄養成分の特徴、調理のポイント、語源なども掲載した。
【結果・考察】春夏秋冬それぞれの季節に旬を迎える食材について、受け継がれてきたレシピや郷土料理、創作料理についてレシピを得ることができた。また、道北地域での極寒の気候により冬に収穫される農産物が少ないため、保存食のレシピも多数存在することが明らかとなった。作成したレシピ集は、名寄市内で開催されたイベントにて配布した他、市内各所に設置した。掲載した食材の合計はのべ60品目、レシピ数は117品にのぼる。配布数は合計1470部である。イベントでの配布や名寄市内の各所設置等により、多数の市民の方々の手に渡ったと考えられる。現代では多くの生鮮食品が年間を通じて入手可能となったため、旬の食材を活かした郷土料理や家庭料理をつくる機会は減少している。本研究を通じて道北地域の各食材の調理特性や食文化の豊かさが明らかになり、それらを調理学・食文化を通して伝統として引き継いでいくために地域住民へ啓発する活動は、大変意義があると考える。