日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-90
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ポスター発表
学校給食を通じた食文化の継承に関する調査
*永嶋 久美子小川 睦美
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キーワード: 学校給食, 食文化, 栄養士
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抄録

【目的】近年、食を取り巻く社会環境の変化に伴って、家庭における日本や地域の伝統的な食文化の継承は難しくなりつつある。そこで食育の推進に大きな役割を果たしている学校給食に関する意識調査を、給食を運営する栄養教諭および学校栄養職員(以下、栄養士)、学校給食を食する児童・生徒、および日常の食を担う保護者に実施し、食文化の継承における学校給食の役割について明らかにすることを目的とし、検討を行った。

【方法】調査は我孫子市内の栄養士19名、小学校7校の児童752名および保護者731名、中学校2校の生徒1,109名および保護者1,064名に対して、2018年6~7月に実施した。児童・生徒、保護者は給食に対する意識、健康習慣、食べ方、和食、行事食に関する意識を、栄養士は献立作成に関する意識、食文化継承への意識、食べ方やマナーに関する指導状況、食育における家庭との連携方法を調査した。

【結果・考察】栄養士は給食を通じて伝えたいこととして、行事食や郷土食を知ってほしい52.6%、日本独自の食文化を継承したい31.6%と回答した。給食に和食を積極的に取り入れ、食文化を意識して、味噌、米、しょうゆ、かつお節、昆布、大豆などを使用していた。児童・生徒がよく食べる和食では、給食で提供される和食が上位にあげられ、献立構成も主食、主菜、副菜、汁物の構成であり、給食が児童・生徒に対し一定の効果を与えていることが明らかとなった。一方、保護者には栄養士の発信する情報が十分に伝わっていないことが推察される結果となり、栄養士の情報発信方法および、家庭との連携が課題であることが明らかとなった。

(2018年度公益財団法人アサヒグループ学術振興財団助成)

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