日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-97
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ポスター発表
北海道産小麦のパン製造における有効性
*高橋 真美
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キーワード: パン, 官能評価, 組織観察
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抄録

【目的】北海道産小麦「ハルエゾ」は、春播小麦を主体とした強力タイプ小麦粉である。しっとりとソフトで風味が良く、もちもち感が特徴である。春に種をまく「春まき小麦」は、秋まき小麦より育成期間が短く、一般的に収穫量が少ないと報告されている。「春よ恋」や「ハルユタカ」などは春まき小麦であり、パン製造に特異的な特性を有していることから活用の実績が多い小麦粉である。「春よ恋」はハルユタカの風味や製パン性(パンの作りやすさ)を受け継ぎながら、収穫量が向上した強力系の春まき小麦であり、「ハルエゾ」にもブレンドされている。本研究では、先行研究の結果を踏まえ、パン市場における「ハルエゾ」の活用を目的に、パンの組織観察、物性について検討した。

【方法】パン材料の強力粉は、北海道産小麦粉「ハルエゾ」を実験に供した。パン製造は、自動パン焼き機を用いて焼成したパンを試料とした。組織観察は、走査型電子顕微鏡にて加圧電圧5kv、35倍で観察した。物性は、クリープメーターを用いて測定した。

【結果・考察】焼成パンの比容積は、ドライイーストを用いて焼成したパンでは、「カメリヤ」、「ハルエゾ」および「ゆめちからベストブレンド」の3種類のパン間の差は認められなかった。しかし、ホシノ天然酵母パン種で焼成したパンでは、「ゆめちからベストブレンド」は「カメリヤ」と同様の膨化度が認められた。官能評価では、「ハルエゾ」が「味」、「香り」、「食感」、「総合評価」において嗜好性が高く評価された。「ハルエゾ」は北海道産小麦の特長である粘弾性、モチ感があり、香りが豊富とされる小麦粉の1つである。このことが官能評価において、高く評価された要因と推察された。

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