日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: A-4
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口頭発表
分析型パネルのためのベーカリー製品のテクスチャー用語の体系化
*森田 亜紀大田原 美保
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抄録

【目的】ベーカリー製品の官能特性の把握は、消費者の求める品質の製品開発には欠かせないが、多様なベーカリー製品のテクスチャー用語についてまとめた研究はほとんどない。本研究ではベーカリー製品の品目ごとにテクスチャー用語を整理し、官能評価の設計や品質情報の伝達の際に参照できる分析型パネルのためのテクスチャー用語体系を構築することを目的として、調査と解析を行った。

【方法】調査は三菱商事ライフサイエンスの分析型パネル15名に対して実施した。日本パン工業会の分類を参考にベーカリー製品9品目を選択し、各製品に対して日本語テクスチャー用語1)455語を50音順に並べ、テクスチャーを評価する際に用いる可能性のある用語に〇をつけさせた。選択した人数を集計し、1品目以上において8名以上が選択したテクスチャー用語同士を比較し、各用語の類似性について点数をつけさせた。

【結果・考察】ベーカリー製品のテクスチャー用語として、口どけがよい、やわらかい、しっとり、ぱさつく、などが上位に挙げられた。製品と用語の関係を主成分分析により解析したところ、食パンはクラム、フランスパンやシート生地はクラスト、蒸し物は水分、ドーナツや焼き菓子は油脂に由来するテクスチャーが特徴であると読み取れた。用語間の類似性の結果を階層的クラスター分析により解析したところ、かみごたえ、なめらかさ、空気を含んだやわらかさ、乾燥、こわれやすさ、変形のしやすさ、付着などの用語群に分類できた。ベーカリー製品毎の代表的なテクスチャー用語とその語彙構造が明らかとなり、官能評価の設定や情報伝達に利用できるリストが作成できた。

1) 早川文代 et al. 日本語テクスチャー用語の収集,日本食品科学工学会誌,52,337–346 (2005)

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