日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-2
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ポスター発表
ハイアミロースコーンスターチ混合クッキーの物性と嗜好性
*吉村 美紀西宮 早紀島田 良子
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抄録

【目的】ハイアミロースコーンスターチ(HACS)は天然の食品素材であり、糊化温度が高いことから調理後もレジスタントスターチ量(RS量)が多いことが推察される。RSは食物繊維と類似した生理効果を有している。本研究ではHACS量比の異なる米粉・大豆タンパク質・小麦粉混合系クッキーを調製し、物性、嗜好性、唾液アミラーゼによるストレス度の関連性の検討を目的とした。

【方法】ハイアミロースコーンスターチ(HACS)、米粉 (RF)、小麦粉 (WF)、大豆タンパク質 (SPI)の混合比の異なる4種のクッキーを試料とした。材料を混捏後、生地を縦・横30mm、厚さ4mmに成型し、180℃で11分間焼成した。試料の栄養価、表面の色測定、破断測定、吸水率測定、水分量測定、SEM画像、ヒトによる官能評価、唾液アミラーゼ測定を行った。

【結果・考察】HACS比の高い試料は、栄養価測定で食物繊維量が高く、表面の色測定でL値が高くなった。破断測定では、WF比の高いクッキーは破断応力が高く、HACS比の高い試料は破断歪が大きく、破断応力が小さくなった。吸水率はHACS比の高い試料の方が高かった。SEM画像では、WF比が高く、HACS比の低い試料で細い隙間が多く見られ、砕けやすくなることが推察された。官能評価では、WF比の高い試料は有意に硬く、まとまりやすいとの結果を得た。唾液アミラーゼによるストレス度の比較は個人差が大きく、試料クッキーの違いによる影響は見られなかった。HACSの混合により、クッキーの食物繊維量は増加し、軟らかくなり、口の中でばらけやすくなったが、おいしさやストレス度への影響は小さかった。

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