日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-6
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ポスター発表
アミロース含量の異なる米粉の摂取がラット盲腸内発酵に及ぼす影響
*大西 竜子
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抄録

【目的】デンプン中のアミロースは小腸で消化吸収され難く,大腸に流入し腸内細菌叢の発酵基質として食物繊維様の腸内環境改善機能が期待できる。本研究では,高アミロース米についての基礎的知見を得ることを目的とし,ラットにアミロース含量の異なる米粉を与えたときの盲腸内発酵に対する影響について調べた。

【方法】5週齢の雄性SD系ラットを3群(n=6/群)に分け,AIN-93G組成の飼料を基本に炭水化物源をコーンスターチとしたコントロール群,炭水化物源を日本米(みかけのアミロース含量18.7%)に置き換えた日本米群,あるいはタイ米(みかけのアミロース含量30.2%)に置き換えたタイ米群とし,各々試験飼料を与え14日間飼育した。飼育終了前3日間に採糞と採尿を行った。解剖時に摘出した盲腸内容物から有機酸を抽出後,誘導体化してGC/MS(ガスクロマトグラフ/質量分析法)により短鎖脂肪酸濃度を測定した。回収した糞と尿については,窒素量,デンプン量などを測定した。

【結果・考察】ラットの体重増加量は3群間で同等であったが,飼料摂取量はコントロール群に比べ日本米群は有意に高く,タイ米群では高い傾向を示した。コントロール群に比べ,米粉摂取群で盲腸内酢酸濃度、総短鎖脂肪酸濃度が有意に増加した。米粉摂取群では糞中窒素排泄量は有意に高く,みかけのタンパク質消化率も低下したが,糞中デンプン排泄量は3群間に差はなかった。いずれの指標においても本研究で用いた日本米とタイ米に差はみられなかった。

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