主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2022年度大会(一社)日本調理科学会
開催地: 兵庫県立大学
開催日: 2022/09/02 - 2022/09/03
【目的】そば粉は炭水化物を豊富に含むことから,製パンに用いることで,小麦に匹敵する食品として活用することが期待できるが,グルテンを含まないため製パンにはいくつかの課題がある。 演者らは1報において,添加する水分量の違いが焙焼した製品の性状に及ぼす影響について調査した。本研究では,前報から引続き,そば粉パンの製法を開発する目的で,添加する膨化剤の違いによる製品の性状に及ぼす影響を検討した。
【方法】そば粉,砂糖,食塩,インスタントドライイーストを撹拌し,油脂,水を加え50回程度撹拌し,生地を調製した。発酵させた生地を型に入れ,200℃で焙焼,放冷,冷凍,冷蔵庫解凍したものを対照とした。対照のインスタントドライイーストをそれぞれ生イースト(以下A),VC非添加外国産インスタントドライイースト(以下B),VC非添加国産インスタントドライイースト(以下C)に置換したものを比較試料とした。品質評価として,膨化測定,物性測定,写真撮影を行った。
【結果・考察】膨化についてCは有意に低い値となった。また破断応力については,有意に高い値を示し,断面画像では気泡が小さく不均一であったため,膨らみが悪く硬いパンとなったと考えられる。 対照,A, B間では膨化及び破断応力に有意差はなかったが,Bの破断応力は高い傾向を示した。また,断面画像では対照とAの気泡は大きく均一であった。 以上より,そば粉パン作製にCは好ましくないが,添加量による違いを検討することで,異なる結果が得られる可能性がある。また,グルテン結合促進を促すVCによる違いは得られなかったため、そば粉パンにはVCの有無を考慮する必要はなく,様々なインスタントドライイーストで作製可能であると考えられる。