日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-14
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ポスター発表
同時調理を想定したスチームコンベクションオーブンによる炊飯方法の検討
*森井 沙衣子坂本 薫
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抄録

【目的】米飯は日本人の主食であり、米飯のおいしさは食事の質を左右する。しかし、申請者らのアンケート調査に回答した給食施設(127施設)では同じ食形態の米飯の提供が難しいこと挙げられ、また半数以上の施設にはスチームコンベクションオーブン(以下、スチコン)が設置されていた。そこで、スチコンにて多様な米飯を調理するための炊飯の標準化を行うことを目的とし、炊飯条件とその米飯特性を検討した。

【方法】スチコンの設定温度、水蒸気量、庫内ホテルパン枚数を変え、炊飯容器内部の水温度履歴を測定し、炊飯条件を検討した。そして、スチコンで他の調理と炊飯を同時に行うことを想定し、1枚あたり750 gの水を入れたホテルパン9枚と同時に炊飯(加水比1.4倍、1.5倍)を行い、米飯のテクスチャ−測定および官能評価を行った。

【結果】水蒸気量100%では水温が98℃に到達する時間は8.1±1.0分であり、水蒸気量0%の場合は40分の間に98℃に到達しなかった。このことから、スチコンでの炊飯には過熱水蒸気加熱が必須であることが確かめられた。庫内ホテルパン枚数が5枚の場合、98℃到達時間は7.1±0.1分であるのに対し、9枚挿入した場合は14.7±2.9分であった。また、米飯の官能評価の結果、加水比1.5倍の米飯は加水比1.4倍の米飯よりも、やややわらかいと評価され、テクスチャ−測定の結果と一致した。さらに、加水比1.4倍の米飯は加水比1.5倍の米飯と比較して有意に弾力があると評価された。これらの結果から、スチコンでの炊飯においては、設定温度・湿度・時間・モードだけではなく、同時調理の量などに影響を受けることから、加水比などの炊飯条件の調節が必要になると考えられた。

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