日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-13
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ポスター発表
新規米粉生パスタ麺の開発
ー米ゲルを添加した米粉生パスタ麺の力学的性質と構造観察ー
*谷口 泉堤 浩一成田 裕一
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抄録

【目的】米粉はグルテンを含まないため製麺が難しく、麺類についてはまだ製品の数は少ない。米粉で生パスタ麺を調製するにはグルテンの代わりとしてつなぎとなる副材料が必要である。本研究では、コシのある米粉生パスタ麺を開発するために、粘度を向上させる米ゲル(高アミロース米をダイレクトGEL転換したもの)を使用した。さらに粘度を安定化させる加工デンプン(架橋デンプン)との併用を試みた。

【方法】米粉(うるち米)、食塩、オリーブ油、鶏卵とグルテンの代わりとなる副材料を使用し、3種類の米粉生パスタ麺を調製した。副材料としては、米ゲル、リン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプンを使用した。未加工のタピオカデンプンを副材料として使用した米粉パスタ麺を対照として比較した。製麺については、押し出し式製麺機を使用し太さ2.0mmの麺を調製した。熱湯中で1分間加熱後、すぐに氷水で10秒間冷却し、ゆでパスタ麺とした。物性測定については、ゆで上げ1・3・5・7・9分後の米粉生パスタ麺を約10cmに切り、破断試験を行った。破断試験にはクリープメータ(RE-33005C、株式会社山電)「破断強度解析Windows Ver2.3」を用いた。一つの試験区につき5点の試験を行い、平均値を算出した。構造観察では、米粉生パスタ麺4種類の生麺、ゆで麺の断面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。

【結果】米ゲルのみを使用した試料では、破断強度の値は対照群に比べ高くなった。加工デンプンを併用した試料では、さらに高い値を示した。電子顕微鏡で観察したところ、米ゲルが添加された試料では、添加されていないものと比較して、デンプン粒同士が密着し緻密な構造になっていた。このことが高い破断強度と関連していると考えられた。

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