日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-15
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ポスター発表
加熱調理がさつまいもの食物繊維の生理作用に及ぼす影響
*山中 なつみ池田 倫子小川 宣子
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抄録

【目的】さつまいもの食物繊維量は加熱調理によって増加し、加熱時間の長い蒸し加熱の方が短時間加熱の電子レンジ加熱よりその増加量が大きく、レジスタントスターチの増加がその要因と考えられた1)。本研究では加熱調理に伴うさつまいもの食物繊維の量や性質の変化がその生理作用に及ぼす影響について、消化管への作用から検討した。

【方法】徳島県産なると金時を厚さ2cm、直径4cmに切り、未加熱、蒸し加熱(100℃,12分)、電子レンジ加熱(500W,1分)試料を調製した。AIN-93G飼料組成のセルロースをコーンスターチに置換した無繊維飼料を対照飼料とし、6週令Wistar系雄ラットに与えて5日間予備飼育した後、さつまいも摂取群(未加熱群,蒸し加熱群,レンジ加熱群)と対照群の4群(1群5匹)に分けた。さつまいも摂取群の飼料は、対照群と糖質摂取量が等しくなるよう対照飼料のコーンスターチをさつまいもに置換し、他の飼料組成と混合せずに給与した。給与量は予備飼育時の飼料摂取量の80%に制限して全量摂取させた。20日間飼育後、消化管内容物と組織重量を測定した。

【結果・考察】盲腸と結腸の内容物は、いずれも対照群に比べてさつまいも摂取群で有意(p<0.05)に増加し、蒸し加熱群が最も多かった。蒸し加熱群の結腸組織は0.97gで、未加熱群0.85gやレンジ加熱群0.82g、対照群0.73gに比べて有意(p<0.05)に大きく、盲腸組織においても同様の傾向が認められた。さつまいもの摂取により大腸組織は肥大し、蒸し加熱した方が未加熱あるいは電子レンジ加熱に比べてその作用が大きいことが示された。

1)池田, 山中, 小川(2020)日本家政学会誌, 72, 719-726

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