主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2022年度大会(一社)日本調理科学会
開催地: 兵庫県立大学
開催日: 2022/09/02 - 2022/09/03
【目的】米糀はデンプンやたんぱく質を含む米原料に、蒸す等の前処理をした後に麹菌を主体に培養した固体培養の産物であり、日本では味噌、醤油、酒等の発酵調味料の製造において利用されてきた。糀にはアミラーゼ、プロテアーゼなどの多数の酵素が含まれており、タンパク質・糖質・脂質の分解によるテクスチャーの変化や、旨味・甘味の増加が起こることで嗜好性に変化をもたらすと考えられる。本研究ではマドレーヌ等の焼き菓子においても、小麦粉の一部を米糀に変えることで、米糀の発酵過程において生地の性状や食味に変化が生じると考え、米糀がマドレーヌ生地へおよぼす影響を検討することを目的とした。
【方法】材料は、バター・砂糖・卵・小麦粉を同量ずつ用いた。糀を添加したマドレーヌ群(以下、糀群)には、糀を粉末化したキスケ糀パワー(糀屋本店)(以下、糀とする)を用い、添加量は小麦粉の30%を置換して用いた。調製方法は、小麦粉と糀を混ぜて常温(24℃)で一定時間発酵をさせた後、焼成は180℃30分間とした。発酵時間は0・2・4・6時間に設定し、発酵時間による変化も比較した。測定項目は、色差、水分含有量、テクスチャーとして破断特性、糖度、官能評価とした。官能評価は50名を対象として7段階評価の評点法で行った。
【結果】糀の添加により、コントロール群と比較して色差は発酵の時間経過に伴って変化が見られた。テクスチャーの破断特性は、最大応力や総エネルギーが低下する傾向を示した。水分含有量は有意に低下し、糖度は上昇し、官能評価による嗜好性は発酵時間によって変化が見られた。以上の結果から、マドレーヌへの米麹の添加は、生地の性状と嗜好性に変化をもたらすことが明らかとなった。