日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-19
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ポスター発表
揚げ物調理の食物アレルギー対応における生おからの検討
*柴田 奈緒美加藤 由利子
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抄録

【目的】近年,食に係わる課題の一つに食物アレルギー有病者の増加が挙げられる。食物アレルギーの原因食品のひとつである小麦の代替品は,つなぎやとろみ付けとして米粉や片栗粉などが既に定着しつつあるが,サクッとした揚げ物の衣に関してはまだ普及していない。そこで本研究は,パン粉に代わる新たな加工食品(生おからパン粉)を開発した。

【方法】生おからをステンレスザルで濾し,粒度を均一にした後,乾燥させた。設定温度ならびに乾燥時間は120℃で最大45分,140℃で最大35分,160℃で最大30分とした。乾燥後は再度,同様のステンレスザルで濾し,粉末化した。以後,乾燥後に粉末化した生おからを,「生おからパン粉」とした。異なる含水率の生おからパン粉を用いて,顕微鏡観察を行った。また,生おからパン粉を40%wetバッター液につけた試料(揚げ衣)に関しては,重量減少率,含油率,硬さ,色彩値および食物繊維量の定量,そして味覚分析を行った。

【結果・考察】生おからパン粉の粒子は一般的な乾燥パン粉より厚みがあり,球状であることが分かった。揚げた後の品質に関しては,生おからパン粉を用いた揚げ衣は,乾燥パン粉を用いた揚げ衣と比較して食物繊維量が多く含まれていること,含油率が高いこと,弱い力で破断されること,色が明るく黄色みが強いこと,味を感じる衣であることが明らかとなった。また生おからパン粉を作成する乾燥温度は揚げた後の品質に影響せず,揚げる前に含まれる生おからパン粉の水分量が揚げ衣の重量減少率,含油率,破断応力に影響を及ぼすことが明らかとなった。

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