日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-33
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ポスター発表
吹田くわいのゆで汁別の力学的評価及び部位別のポリフェノール量
*八木 千鶴中本 恵子徳永 みな子吉村 美紀
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抄録

【目的】大阪府吹田市の日本固有種「吹田くわい」は、肉質が緻密で味がよいとされている。くわいは正月料理に使われ食文化の継承、特に吹田くわいは地域活性化にも期待される。くわいの皮は青みがありポリフェノールが含まれると考えられる。美味しく食すための下ごしらえの方法としてゆで汁の検討を行い、機能性成分の有効摂取につながるよう吹田くわいの部位別の総ポリフェノール量を調べた。 【方法】吹田市産吹田くわい、広島県産青くわいを使用した。実を12㎜×12㎜×15㎜の直方体に切り出した。ゆで汁は、水・米のとぎ汁・酢水(3%)・重曹水(0.4%)を用い、沸騰後10分間加熱後、直ちにレオメーターによる圧縮試験を行った。総ポリフェノール量は、吹田くわいを生のまま芽、皮、実それぞれに剥いたもの、また比較のためごぼうの生を試料としてフォーリン‐チオカルト法を用い測定した。

【結果・考察】ゆで汁の比較では、吹田くわい・青くわい共に、水、米のとぎ汁、重曹水が酢水に比べて最大荷重、破断荷重、破断エネルギーが低く(p<0.01)軟らかくなった。硬さは、水、米のとぎ汁、重曹水には差がみられず、いずれもゆで汁として適していると考えられた。ゆで汁別にかたさを比較すると、吹田くわいは、青くわいに比べて水の場合、破断荷重が高く(p<0.05)、酢水の場合、破断応力が高く(p<0.05)硬くなった。吹田くわいに含まれる総ポリフェノール量は、芽が最も多く、次に皮、実となった。芽の総ポリフェノール量は、ごぼうと同程度含まれており、機能性からも芽ごと食すことが有効であることが示唆された。今後、下ごしらえや加熱調理法別によるポリフェノール残存率を検討する必要が認められた。

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