日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1B-3
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口頭発表
地獄蒸し釜で長時間蒸したたまごの色およびにおい成分の解析
*野崎 雪美高松 伸枝坂本 幸司梅木 美樹
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キーワード: 地獄蒸し釜, たまご, , におい
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抄録

【目的】大分県別府市には温泉噴気を利用した地獄蒸し釜と呼ばれる調理器具があり,その地獄蒸し釜で長時間蒸したたまごは,別府市内の観光・宿泊施設等で提供されている。この長時間蒸したたまごは,卵白の褐色化および燻製様のにおいが大きな特徴であり,嗜好性に深く関わっていると考えられる。そこで本研究では,長時間蒸したたまごの色およびにおい成分を詳細に解析することを目的とした。また,長時間蒸す過程における色およびにおい成分の変化についても検討した。

【方法】試料には鶏卵(卵白)を用い,地獄蒸し釜は鉄輪温泉のものを使用した。まず,15分蒸しを対照とし,長時間蒸し(12時間)の色およびにおい成分を分析した。次に,2時間おきに12時間まで蒸した試料の経時変化について,各蒸し時間の色およびにおい成分を分析した。両実験において,色の分析は測色色差計,におい分析は,におい嗅ぎつきガスクロマトグラフ質量分析計を使用した。

【結果・考察】色は15分蒸しに対し,12時間蒸しでL*値が有意に低値を示し,a*値およびb*値は有意に高値を示した。におい成分は12時間蒸しにのみ,チオフェン類およびピラジン類が主成分として検出された。経時変化では,色は8時間蒸しまでに褐色の進行が認められ,8時間蒸し以降は一定となり大きな変化は認められなかった。におい成分は,チオフェン類およびピラジン類が時間とともに増加した。以上の結果より,長時間蒸したたまごの色は,暗く,赤みおよび黄みの強い色へと変化することで褐色化することが明らかになった。また,燻製様のにおいは,硫黄様のにおいの特徴を有するチオフェン類および香ばしいにおいの特徴を有するピラジン類の生成に起因していることが考えられた。

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