日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1B-2
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口頭発表
水出し紅茶に用いる水の水質(Mg,Ca)が紅茶水色に及ぼす影響
*築舘 香澄鈴木 志歩柳内 志織内山 裕美子大森 正司
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キーワード: , 紅茶, 水出し
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抄録

【目的】水出しの緑茶や紅茶は,湯を沸かす必要が無く簡単に作ることができるという理由から流行し,夏を中心に販売する茶メーカーが多くある。これまでに水出し緑茶に関する機能性や水質の違いによる呈味成分についての研究がなされている。しかしながら,水出し紅茶についての研究報告は見られない。そこで本研究では,マグネシウムとカルシウムに着目し,ナトリウムと共存した人工水を用いて水出し紅茶を浸出した際の水色への影響を明らかにすることを目的とした。

【方法】試料にはダージリンを用いた。水は,マグネシウム量,カルシウム量に濃度勾配を付け,ナトリウムを共存させたマグネシウム人工水,塩化カルシウム人工水,炭酸カルシウム人工水を用いた。茶葉3 gに人工水 100 mlを加え,冷蔵庫で18時間浸出した後,茶こしを用いて濾別し試料溶液を得た。これについてpHメーター,分光光度計,色差計を用いて測定した。

【結果・考察】マグネシウム量の増加に伴い,試料溶液のpH,a*値は低下,L*値は上昇し,水色は薄くなることが明らかとなった。塩化カルシウム量の増加は,pH,吸光度の低下や,L*値の上昇,b*値の低下に影響しており,濃度が高くなるほど水色が薄く明るくなる傾向が見られた。炭酸カルシウム量の増加は,吸光度の上昇,a*値の上昇に影響しており,ナトリウムが共存したことにより炭酸カルシウム人工水では水色が濃くなることが明らかとなった。これは,炭酸カルシウム量の増加に伴い,紅茶の色素であるテアフラビン類やテアルビジン類が多く浸出する可能性が示唆された。

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