日本調理科学会大会研究発表要旨集
2023年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-43
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ポスター発表
色という視覚情報がないと味の識別は不可能か
*持丸 由香宮園 結衣
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キーワード: , 味覚, 官能評価, 視覚情報, 果汁
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抄録

【目的】ヒトは,「おいしさ」を味覚だけではなく,五感を通して味わっており,視覚は料理を見て「おいしい」と判断するために最初に働く感覚である。本研究では視覚情報の中でも特に色に着目し,色による味覚への影響の一つとして味の識別に影響があるかどうか調べることとし,色という視覚情報がないと味の識別が不可能であろうという仮説を検証した。

【方法】調査1では,被験者に鼻栓を装着させ,りんご,ぶどう,みかんの3種類の果汁100%ジュースを試料として,何の果物のジュースであるかという官能評価を行った。全て正解した被験者に調査2を行ってもらった。調査2では,鼻栓と目隠しを装着させ,調査1で使用した3試料を乱数表で無作為に組み合わせ,3点を1セットとし,試料の種類を回答する官能評価を行った。嗅覚情報と味覚情報の取り違えを考慮し,全ての調査は嗅覚からの情報の影響を受けないよう被験者には鼻栓をして行ってもらった。調査2は視覚からの情報も遮断するために鼻栓に加え目隠しもして行ってもらった。調査1,調査2と2段階に官能評価を行った理由は,調査1において視覚情報がある状態で味の識別ができることが確認された被験者によって,調査2を実施することにより,視覚情報の有無の違いを比較することが可能であると考えたからである。

【結果・考察】調査2において全体の正答率は77%であった。果物の種類別の正答率は,りんごが76%,ぶどうが60%,みかんが96%であった。色という視覚情報がないと味の識別は不可能であるという仮説は覆された。みかんの味の特徴である酸味や苦味は閾値が低いために色という視覚情報がなくとも味覚情報だけで識別することが容易であることが推察された。

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