日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1D-1
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口頭発表
カツオ味噌の製造条件に関する研究
*福田 翼矢倉 陽平辰野 竜平古下 学
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抄録

【目的】カツオ味噌は,江戸時代に確立された土佐須崎地方の醸造なめ味噌である。カツオ味噌は,カツオ生肉,大豆,麹および食塩を混合し,発酵して作られる。水産物を利用した醸造なめ味噌は,水産物,麹および食塩から製造される事が多く,大豆利用は珍しい。そこで,カツオ味噌における大豆および麹の添加効果を明らかとすることを目的とした。

【方法】カツオ味噌の製造は,大日本産業事蹟を参考にして行った。カツオは,ハガツオ生肉を利用した。製造条件は,カツオ(以下,カツオ条件),カツオおよび大豆(以下,カツオ+大豆条件),カツオおよび麹(以下,カツオ+麹条件),カツオ,大豆および麹(以下,カツオ+大豆+麹条件)とした。

【結果】カツオ+大豆+麹条件の細菌数および乳酸菌数は,発酵10日目に103~104 CFU/g程度まで増大し,以後は時間経過と供に減少した。発酵40日目におけるカツオ+大豆+麹条件の細菌数および乳酸菌数は,101~102 CFU/g程度であった。一方,カツオ条件,カツオ+大豆条件およびカツオ+麹条件の細菌数および乳酸菌数は,発酵期間中,いずれも102 CFU/g以下で推移していた。カツオ+麹条件およびカツオ+大豆+麹条件の酵母数は,発酵40日目以降,増大した。一方,カツオ条件およびカツオ+大豆条件の酵母数は,発酵期間中,検出限界以下であった。カツオ+麹条件およびカツオ+大豆+麹条件のpHは,カツオ条件およびカツオ+大豆条件よりも低く推移していた。TCA可溶性窒素量は,いずれの製造条件においても,時間経過と供に増加した。発酵40日目のTCA可溶性窒素量は,カツオ+麹条件,カツオ+大豆+麹条件,カツオ条件,カツオ+大豆条件の順に高かった。

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