日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1D-4
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口頭発表
市販食用油のPOV簡易測定方法
*細内 安紀子鈴木 浩数野 千恵子
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抄録

【目的】食用油脂が多く含まれる食品を長期間保管すると風味が悪くなり,さらに劣化が進むと不快臭や刺激臭を発する。食用油脂は,食品衛生法において酸価(AV)や過酸化物価(POV)などの規格基準が定められている。その中でPOVは油脂劣化の指標として定められており,滴定法による測定が示されている。しかし,滴定法は実験室内での試験を前提としているため,現場での測定方法としては適していない。そこで,POVを現場で簡単に測定できるPOV試験紙を試作し,市販の食用油脂に適用できるかを検討した。

【方法】1) POV試験紙:公定法に準じた試薬を含ませた試験紙を作製し,スティック状のプラスチックに貼り付けた。2)試料油:市販のラード,ショートニング,オリーブオイル。3)試料油の調整方法:試料を加温し酸化させた。この油脂に新油を混ぜ,公定法で滴定を行いPOV 5,10,20および30に調整した。4)固形脂の操作方法:試料を加温して溶解し,これをPOV試験紙に塗布し3分間放置後,水をかけて発色させた。発色部分をあらかじめ作成した色見本と比較してPOV値を判定した。5)オリーブオイルの操作方法:オリーブオイルをPOV試験紙に塗布し3分間放置後,pH4の緩衝液をかけて発色させた。発色部分を色見本と比較してPOV値を判定した。

【結果】試作したPOV試験紙を用いて市販の油脂に適用し,あらかじめ作製した色見本と比較することにより,POV 5~30が判定できた。市販の食用油への適用:POV 5,10,20および30に調整した3種類市販の食用油についてPOVを測定した結果,本法は公定法と同程度の値が得られた。これらのことから,市販のラード,ショートニング,オリーブオイルのPOV測定に適用できることがわかった。

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