日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1D-5
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ディープラーニングに基づいたAI食感分析法開発
*武政 誠
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抄録

【目的】食品のおいしさは食品開発等産業上での重要性はもちろん,食育や高齢化社会におけるフレイル対策など,非常に重要である。物理的な味ともいわれる食感は,日本食においては6割超を占めるともいわれている。食品の種類はもちろん,調理法にも強く依存しておいしさ,さらには食感が変化し,商品価値他前述の波及効果が見込めるため,調理科学分野における食感の定量分析手法は重要である。一方,圧縮器具の形状や圧縮速度,また食品の形状など圧縮条件に,食感が大きく影響してされるため,圧縮試験機の結果は統一的に解釈することが困難である。本研究はこの問題を解決すべく,機械学習に基づいて,食感分析を実施する新しい方法を開発することを目的とした。

【方法】従来の食感測定法である,食品圧縮試験機を利用して圧縮特性を得た。圧縮試験結果から特徴値を抽出するTexture profile analysis法がこれまで主流であるが,本研究では,圧縮荷重の掲示変化の生データ,例えば1,000ポイント/測定,を利用した。圧縮試験結果の全データをディープラーニングに基づいて「食感を学習」することにより,食感に基づいて食品や製造法,成分などの分類を試みた。

【結果】数千,数万回の圧縮試験データを収集し,教師あり学習として,ディープラーニングを実施した。従来法のTPAに基づいた多変量解析では,判別不可能なわずかな食感の違いであっても,本手法を利用することで,食感に基づいて食品を判別することや,官能試験の結果を予測することに成功した。本技術を今後発展させることで,従来特に困難であった,機器分析結果とヒトの感性の間に,相関関係を見出し,両者のギャップを埋めることが可能になる,と期待される。

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