日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1E-2
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口頭発表
保育施設における食物アレルギー支援の現状
*駒田 聡子
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抄録

【目的】食物アレルギーは命をつなぐために必要な食事をとることで,わずかな時間で命を落とす可能性がある疾患である。その罹患率が高い年齢の児を預かり施設で調理を行って提供している保育施設の職員の対応は,児の命を守る上で非常に重要となる。厚生労働省(以下厚労省)は『保育所におけるアレルギー対応ガイドライン』を示しているが,これまでの研究で保育者が調理品の原材料を知らず誤配するなど,ヒヤリハット事例が多くみられた。そこで厚労省のガイドラインに基づいた食物アレルギー児対応がどの程度浸透しているかを調査し,食の立場からの支援の視点を探ることを目的とした。

【方法】2023年2月に兵庫で開催された保育士等キャリアアップ研修の講義後に厚労省のガイドラインに則した自身作成の食物アレルギー確認表を配布し,その対応実践の有無を調査した。回答数77名・回収率94%

【結果】アレルギー対応委員会の設置は11.7%で,対応マニュアルを作成しいる園も44.2%と低値だった。その他,ヒヤリハット経験有りが70.1%と高い割合だった一方で,職員間でさまざまな情報を共有する態勢が整っていない,行政や医師など他職種との連携している割合も同じく低いなどまだまだガイドラインに示された事故防止のための支援が浸透していない実態があることがわかった。これらのことより保育施設における食物アレルギー支援には課題も多いことが指摘でき,その背景には食と医療,二つの分野にまたがる知識が必要であることが考えられる。食の立場からは,保育者に厚労省のガイドラインに示された内容の根拠(なぜそうすべきか)が伝わる,「給食提供に寄り添った支援方法」を提案する必要性があると感じた。

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