日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1E-3
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口頭発表
共食コミュニケーションがヒトに及ぼす影響
—孤食,共食,遠隔共食における気分と行動の変化—
*鎌田 那央子外岡 和菜石川 伸一
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抄録

【目的】共食は,コミュニケーションや教育,文化継承,社会適応,娯楽といった社会的機能を持ち合わせている。共働き世帯の増加や新型コロナウィルス感染症拡大などにより,共食の機会が著しく減少している一方で,遠隔共食など新たな食事スタイルも広がりを見せている。既存の研究において共食に関して報告されているものは多いが,ヒトの心理面や食事動作の変化に焦点を当てた報告は少ない。本研究は,食事相手の在否が,ヒトの気分や食行動,コミュニケーションに与える影響を検討する。また,遠隔共食の機会が増加していることを踏まえ,食事環境の違いによる影響も比較分析する。

【方法】実験にあたって,①一人で食事をする孤食条件,②二人で会話をしながら食事をする対面条件,③画面を介して遠隔で二人で会話をしながら食事をする遠隔条件の3条件を食事環境として設定した。被験者は,大学生および大学院生の計10名とした。食事内容は,3条件すべてで共通とし,カレーライス,水を提供した。食事に伴う気分状態については,日本語版POMS2全項目版成人用を用いて評価した。食事中は,3台のカメラを用いて撮影を行い,被験者の食事動作,視線行動,発話行動を観察した。解析には,注釈フリーソフトELANを使用し,各行動を定量的に調査した。

【結果】気分状態について,孤食条件と比較して,対面条件ではネガティブな気分状態が改善したこと,遠隔条件では抑うつ-落ち込み状態が軽減したことが分かった。食事動作について,対面および遠隔条件では,孤食よりも食べ物を寄せ集めている途中で停止する時間が長く,また食べ物を口に運ぶもしくは口にした状態で停止する時間が長いことが示された。視線行動,発話行動については,解析中である。

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