日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1E-4
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口頭発表
日本における家庭料理ルーツの同定とそれを規定する因子についての解析
*大西 弘太郎久保木 陽子菊池 節子源川 博久
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抄録

【目的】家庭料理は,ありていに言えばおふくろの味に代表される素朴な料理群だが,さらに言えば地域色色濃い郷土料理を含む。日本では和食に加え洋食・中国料理など,家庭内で調理されるものを「家庭料理」とよぶ。世界的にみれば,やはり郷土料理に始まり,物流やメディアの発達にも伴って様々な近隣地域の食文化が混在する傾向もみられ,これらは食文化の内の最も大衆的な部分を占めている。家庭料理は,家庭内で調理して家族で食卓を囲む際に食されている。本研究では,「家庭内で調理する」,「家族で供する」という2つの点に着目して食材,調理,食す場面等について調査し,家庭料理の根源を同定し,それを規定する因子について解析を行ったので報告する。

【方法】まんが日本昔ばなし(TBS系列のTVアニメ)の全1,474話を対象にして,それらの中に登場するすべての家庭料理を拾い出し,分類した。登場した料理の食材,調理,地域性や時代背景などについても考察を試みた。

【結果】最も種類数が多かったのは魚介類であった。以下,穀類,野菜類となった。登場回数については,主食である米を含む穀類が最も多かった。以下,魚介類,嗜好飲料類,野菜類となった。昔ばなしには主食である米(特にご飯)を含む穀類が数多く登場すること,海に圏まれた島国であるため魚介類の登場回数も多いという特徴が認められた。昔ばなしでは,「さかな」,「いも」,「酒」などと,どういった種類のものをどのように調理したのか不明なものも多かった。今後は,世界各国の昔ばなし等との比較検討した上で,家庭料理成立を規定する因子の解析を進めていく予定である。

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