日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1E-5
会議情報

口頭発表
レシピ共有サイトの美味しさ評価情報と調理素材の関係の統計的分析
*上原 宏持橋 大地
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】レシピ共有サイトに記述される評価情報は,その料理の美味しさを反映しているが,その評価情報とレシピに記述される調理情報との関係性は明らかではない。本研究では,調理情報のうち素材情報を計算可能なベクトルで表現することにより,統計的手法を用いて評価情報と素材特徴との関連性を分析した。

【方法】レシピ共有サイトの素材記述にもとづき,各レシピの特徴をベクトル化(以下,素材特徴ベクトル)したものを説明変数,評価情報を目的変数として,評価情報に対する素材特徴ベクトルの説明力をロジスティック回帰によって評価した。素材特徴ベクトルは以下の4種類の異なる方法で表現した。なお,下記3.4.は,香気化合物のデータベースから素材に該当するデータ(濃度および香り知覚閾値)を取得することでベクトル化している。

1.2値化した素材特徴ベクトル:素材の有無を1.0で表したベクトル

2.濃度による素材特徴ベクトル:素材の分量を濃度で表したベクトル

3.香気化合物濃度による素材特徴ベクトル:含有香気化合物の濃度で表したベクトル

4. Odor Activity Value(OAV) ベクトル:上記3.のベクトル要素を,香気化合物毎の香り知覚閾値にもとづきOAVに変換したベクトル

【結果】クックパッドレシピ約700件を対象に,ツクレポ数が1のレシピと10以上のレシピについて,上記4種類の素材特徴ベクトルで判別を試みた。ツクレポ数10以上のデータ割合は約20%程度であり,これを判別する精度に着目した。その結果,素材そのものによる素材特徴ベクトル(上記1.2.)の判別精度に対して,含有香気化合物にもとづく素材特徴ベクトル(上記4.)の判別精度を上回る結果となり,OAVの特徴ベクトルが料理の美味しさを最も説明づける結果となった。

著者関連情報
© 2023 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top