日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1E-7
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口頭発表
食品ロス削減に向けたダイコンの冷凍保存の有用性評価
*粟津 虹森 太郎久保 加織
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抄録

【目的】食品ロスは,消費者個人の意識や行動と密接に関わる環境問題の1つである。本研究では,食品ロス削減に向けた具体的な知識および技術の習得につながる知見を得ることを目的とし,家庭におけるダイコンの冷凍保存の有用性を多面的に評価した。

【方法】試料である青首大根は,滋賀大学教育学部内の農場で栽培し2021年1月と2月に収穫したものと同年10月と11月に大津市内で購入したものを供試した。ダイコンを直径4.5 cm,高さ1.5 cmの円柱型に成形し,ブランチングや氷漬けなど異なる方法で処理した後に家庭用冷凍庫で-20℃,24時間冷凍し,電磁調理器で煮加熱解凍したものを実験用試料とした。凍結あるいは加熱前後の重量変化や呈味成分,物性,調味液の浸透性ついての科学的評価と併せて,2021年10月から12月に滋賀大学教育学部の学生を対象に官能評価を実施し5段階評点法にて嗜好性評価を行った。

【結果】ダイコンの冷凍保存による重量変化は少なく,加熱調理後に重量減少を示す傾向が見られた。呈味成分であるグアニル酸や糖,アスコルビン酸は冷凍後も保持される傾向にあり,冷凍保存による損失が少なかった。また,ダイコンを冷凍保存することで加熱調理後の調味液の浸透性が高まり,一定の力で圧縮した際に流出する水分量も多いことが明らかとなった(p<0.05)。官能評価では,食感やみずみずしさ,甘さをはじめとした基本的要素が冷凍保存後も総合的に保持されていた。これらのことから,ダイコンについて食品ロス削減に向けた家庭における冷凍保存の有用性が示唆された。

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