日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 2A-1
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口頭発表
もち性大麦粉の添加が製パン性に及ぼす影響
*新井 美彩小松 栞露久保 美夏
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抄録

【目的】もち性大麦は水様性食物繊維のβ-グルカンに富んだ食品であり,調理性に関する研究が複数報告されているが,品種間差について調べた研究はあまりみられない。そこで品種の異なるもち性大麦(はねうまもち,もち絹香,フクミファイバー,キラリモチ,ダイシモチ)を添加したパンを調製し,製パン性にどのような差異が現れるかを明らかにすることを目的とした。

【方法】小麦粉300 g,砂糖15 g,食塩6 g,スキムミルク6 g,インスタントドライイースト6 g,バター15 g,水204 gで調製したパンをコントロールとし,小麦粉の15%ををもち性大麦粉で置換したものをもち麦粉置換パンとした。全材料を混捏後,一次発酵(35℃,45分間),成型(7 cm角食パン型),二次発酵(35℃,35分間),焼成(190℃,18分間)を行いパンを調製した。測定項目は高さ,比容積,色,水分量,かたさ,凝集性とし,24及び48時間20℃で保存したパンについても測定した。焼成前の生地は発酵試験を行った。

【結果】発酵試験の結果から,0.75時間経過時点でコントロールの増加率に対してもち麦粉置換パンは70~75%程度の膨化となっており,3時間経過までその傾向は変わらなかった。比容積はコントロールと比較してもち麦粉置換パンの値が低く,発酵時の状態とパンの比容積との関連性が示唆された。ダイシモチを用いたパンはクラムの明度が低く,原料由来の色の影響を受けることが明らかとなった。水分量は48時間保存によっていずれも低下した。フクミファイバーを用いた試料のかたさは,焼成当日及び保存中のかたさの増加割合が他の試料と比較して大きいことが示された。

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