日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 2A-3
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口頭発表
グルテンフリー米粉パン調製における加水温度およびミキシング条件の影響
*齋藤 公美子榛葉 美友佐多 綾花武智 多与理畠中 芳郎和泉 慶子新名 世実淺井 智子髙村 仁知
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抄録

【目的】製パン工程において,ミキシングはグルテン形成に大きく関わるため,パン品質を左右する重要な工程である。しかし,グルテンを形成しないグルテンフリー(GF)パンの調製におけるミキシングは重要視されてこなかった。本研究では,GF米粉パンにおいて,加水温度,ミキシング時間,ミキシングアームの種類が生地特性および製パン特性に及ぼす影響について明らかにすることを目的とした。

【方法】ミキシングは卓上ミキサーを用いて行い,ビーター,ホイッパーの2種類のミキシングアームを用いた。米粉パン試料は加水温度およびミキシング時間を変えて調製した。製パン特性評価として,比容積測定,テクスチャー測定,X線CT撮影を用いた断面観察を行った。また,生地特性評価として生地の粒度分布測定,動的粘弾性測定を行った。

【結果】GF米粉パンの調製において,ミキシングアームは,ビーターよりもホイッパーを用いた方が比容積の大きい,やわらかいパンを得ることができた。加水温度5℃で調製したパンは,ミキシング時間が長いほど比容積が増加したが,60℃ではホイッパー・15分のミキシングで比容積が最大となり,ミキシング時間が短くても安定して比容積が大きかった。生地特性については,ミキシング時間が長いほど粒度分布は小さくなり,ホイッパー・60℃・15分の条件で,周波数に依存しない安定した挙動とtanδの高値が確認された。以上の結果から,ミキシングは生地の粘弾性やデンプン構造への影響を通じて,GF米粉パンの最終的な品質に影響を及ぼすことが示唆された。さらに,高温水を用いて調製することでミキシング時間が短縮され,高品質のパンを得られる可能性が示された。

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