日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1A-4
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口頭発表
過熱水蒸気による炊飯が米飯の物理特性に及ぼす影響
*石橋 ちなみ柳生 実祈吉田 有里清水 善弘佐古 圭弘叶内 宏明竹中 重雄
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抄録

【目的】過熱水蒸気(Super-Heated Steam,以下,SHS)は,100℃で蒸発した飽和水蒸気を,常圧で100℃以上に加熱した無色透明の気体であり,食品では加熱調理・加工,殺菌等に用いられている。米の炊飯ではこれまでに,コンベア上の米にSHSを直接暴露し散水しながら炊飯すると,米飯は老化しにくく嗜好性が維持されるとの報告がある。本研究では,SHSによる炊飯の汎用性を高めることを目的に,日本で一般的な炊飯方法である,浸漬水中で米を炊き上げる方法にSHSを活用し,SHSで炊飯した米飯の物理特性を調べた。

【方法】炊飯には過熱水蒸気調理器(エースシステム(株)),家庭用電気炊飯器(象印マホービン(株))を用い,加水量は精白米の1.5倍量とした。得られた炊飯米(以下,SHS炊飯,RC炊飯)は,4℃で最大72時間保存し,重量,水分量測定,官能評価,表面色測定,テクスチャー測定,走査電子顕微鏡観察を行った。

【結果】炊飯米の重量から炊き上がり倍率を求めた結果,SHS炊飯では米の2.46倍,RC炊飯では米の2.26倍となり,水分量はRC炊飯よりもSHS炊飯で有意に高かった。官能評価では,24時間保存後は,RC炊飯よりもSHS炊飯で外観およびテクスチャーを考慮した総合的嗜好性が高いと評価された。表面色測定およびテクスチャー測定においても,官能評価と概ね一致した結果が得られ,SHS炊飯の最大荷重は,24,48,72時間保存いずれもRC炊飯よりも有意に低くなった。走査電子顕微鏡観察においては,SHS炊飯はRC炊飯よりも内部構造が多孔質であり,水が細かく分布していると推察された。以上より,SHSによって炊飯した米飯は,RCで炊飯した米飯と比べて保存を経ても嗜好性が維持されることが示された。

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