会議名: 2023年度大会(一社)日本調理科学会
開催地: 県立広島大学
開催日: 2023/09/09 - 2023/09/10
【目的】桑の葉は,抗酸化作用や血糖上昇抑制作用など様々な機能性が報告されており,近年では機能性表示食品として利用されている。本研究では,桑の葉のさらなる利用機会を創出するために,手軽に摂取できるパウンドケーキに加え,その嗜好性および抗酸化能を評価した。
【方法】パウンドケーキは,小麦粉の一部を凍結乾燥した桑の葉20%または抹茶10%で置換した試料(桑の葉,抹茶)と無添加の試料(無添加)を調製した。ポリフェノール量は,Folin-Ciocalteu法を用い,没食子酸相当量で評価した。抗酸化能はDPPHラジカル消去法を用い,Trolox相当量で評価した。官能評価は本学健康栄養学科に所属する3年生(37名)をパネルに実施した。無添加ケーキを基準試料(0)とし,官能評価票を用いて試料の見た目,色,香り,味,テクスチャーの各特性の強さおよび総合評価を7段階評点法により行い,総合評価の理由は,計量テキスト分析を行った。
【結果・考察】桑の葉のポリフェノール量および抗酸化能は,それぞれ780.5 µg GAE/g,2.7 µg TE/gを示し,パウンドケーキでは桑の葉の添加量に依存して増加した。官能評価の結果,桑の葉は抹茶よりも有意に「焼き色」が濃く,「後味の良さ」がよいと評価された。「見た目」と「甘味の強さ」,「苦味の強さ」,「しっとり感」では有意な差は認められず,同程度であった。「総合評価」では桑の葉は抹茶よりも高く,無添加よりも有意に高評価であった。総合評価の理由の共起ネットワーク分析の結果,桑の葉ではパサつき,抹茶ではしっとり感が頻出した。以上のことから,桑の葉や抹茶を添加すると嗜好性が向上し,特に桑の葉は抹茶よりも嗜好性が高く,機能性成分の摂取に寄与する加工品を調製できると考えられた。