日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 2B-1
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口頭発表
イチゴアレルゲンの熱安定性に対するフラボノイドの影響
*西野 真弥野田 響子石橋 美咲宇野 雄一新田 陽子
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抄録

【目的】口腔アレルギー症候群(OAS)は,生の果物が原因で発症することが多く,近年報告が増加している。医療現場では,OAS原因食物の加熱調理によりアレルギー症状が誘発されにくくなると知られており,その根拠としてアレルゲンの加熱による構造変化が考えられている。所属研究室では,イチゴアレルゲンの一種であるFra a 1の組換え体タンパク質rFra a1単独の立体構造について,加熱による変化を調べてきた。一方でイチゴ内では様々な低分子とアレルゲンが共存しており,Fra a 1はミリセチンなどのフラボノイドとの結合が報告されている。本研究では,rFra a 1の加熱による構造変化をフラボノイド存在下で調べることを目的とした。

【方法】窒素原子を15Nに置換したrFra a 1を用意し,1H-15N HSQC NMRスペクトル測定に用いた。40,60,80℃の各温度で加熱し25℃に冷却したサンプルのスペクトルを得た。リガンド結合実験には,rFra a 1の等モル濃度のフラボノイドを添加し,同様に測定を行った。

【結果】Fra a 1の異なるアイソフォームのうち,Fra a 1.01とFra a 1.02の組換えタンパク質rFra a 1.01とrFra a 1.02について検討した。rFra a 1.02では,60℃の加熱で構造変化に対応する1H-15N HSQCスペクトルの変化が見られたがrFra a 1.01では明確に変化しなかった。両タンパク質ともに室温でのフラボノイド添加によりスペクトルが変化し,リガンド結合に関わるアミノ酸残基が推定された。本発表ではフラボノイドを添加したイチゴアレルゲンの熱変性について報告する。

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