日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 2B-6
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口頭発表
ビタミンCの調理損耗:調理法の違いによる影響
*玉木 有子朝倉 敬子佐々木 敏
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キーワード: ビタミンC, 調理損耗, 残存率
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抄録

【目的】日本人の食事摂取基準は実摂取量を想定したものである。そのため,摂取の際に調理が必要な食品については,調理損耗を考慮して栄養価計算が行われる必要がある。日本食品標準成分表は2015年版(7訂)以降,食品素材と調理後の分析値の蓄積がなされているが,調理過程は必ずしも実摂取状況と一致しておらず,栄養素によっては調理損耗の程度が大きい可能性がある。そこで本研究では,日本で食用とされる食品において,ビタミンCの残存率を報告した学術論文を収集・整理し,調理法(調理条件)の違いによる調理損耗の程度を検討することを目的とした。

【方法】前報1)同様,2023年1月30日までに確認できた調理後のビタミンC残存率を整理した。ビタミンC残存率は,食品群別,食品群小分類別,あるいは食品群別+調理法別などでグループ化し,グループごとに残存率の最小値,25%値,中央値(50%値),75%値,最大値,および平均値を算出した。

【結果】調理法,加熱媒体の有無などによってビタミンC残存率に影響が生じることが示唆された。ゆでる,ブランチングなどの調理を行うと残存率が低く,特にゆで汁を捨てる場合は残存率が低い傾向にあった。しかし,文献によって調理条件が異なったため調理法をグループ化できない食品群もあった。調理中の栄養素量の残存率一覧が整理,公表できると,実摂取量を考慮した栄養価計算に資することができる。そのためにも今後,日本食品標準成分表とともに調理条件をそろえた多くの分析データが蓄積されることが望まれる。

1)玉木有子,朝倉敬子,佐々木敏:栄養素の調理損耗:ビタミンCに関する検討,日本食生活学会 第66回大会(口頭発表)要旨(2023.5.20)

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