日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1A-7
会議情報

口頭発表
分析型パネルのためのベーカリー製品の老化感に関するテクスチャー用語の特徴づけ
*森田 亜紀大田原 美保
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】パンの焼成後の品質低下を抑制することは製パン業界にとって課題である。パンの老化に関する官能評価は,クラストとクラムの外観,触感,味,口中の感覚,風味の変化などで評価されるが,多様なベーカリー製品の老化を表すテクスチャー用語をまとめた研究はほとんどない。演者らはベーカリー製品の保存により総合的に食味低下した感じを老化感と定義して,老化感を表す食味要因のうちテクスチャーに着目した。本研究ではベーカリー製品の老化感評価の際に参照できる分析型パネルのためのテクスチャー用語体系を構築することを目的として,調査と解析を行った。

【方法】調査は分析型パネル16名で実施した。ベーカリー製品9品目を提示し,保存後の品質に影響を及ぼすと思う食味要因(味,香り,テクスチャー)について10点満点で評価させた。日本語テクスチャー用語1)445語のうちパネルの2名以上が保存後のベーカリー製品のテクスチャーを表すと評価した用語(103語)を50音順に並べ,評価する際に用いる可能性のある用語に〇をつけさせた。

【結果】保存後のベーカリー製品の食品要因を比較すると,味,香りよりもテクスチャーに対する得点が高かった。製品と用語の関係を解析したところ,保存後のテクスチャーは“乾燥”と“もろさ”の2成分に関する6つの特徴として表すことができた。食パン,菓子パンは乾燥の進行,フランスパンはかたさの増大,シート生地は水分の吸収,ドーナツや焼き菓子は油脂由来のテクスチャーの変化が特徴であると読み取れた。保存後のベーカリー製品9品目の代表的のテクスチャー用語は24語となり,官能評価の設定に利用できるテクスチャー用語のリストを得ることができた。

1)早川ら,日本食品科学工学会誌, 52,337–346(2005)

著者関連情報
© 2023 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top