主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2024年度大会(一社)日本調理科学会
回次: 35
開催地: 鎌倉女子大学
開催日: 2024/09/06 - 2024/09/07
【目的】電子レンジ対応食品の開発において実製品を使う手法では膨大な時間と食品や容器包装のロスが生じるという問題があり、シミュレーション技術を活用することでこれらの大幅な削減が期待できる。本研究では、米飯の電子レンジによる再加熱を対象に誘電特性の大きく異なる米粒と空隙の2要素を考慮したモデルに対して、両者を複合体とみなした見かけ均相モデルを用いたマイクロ波(MW)加熱シミュレーションを構築した。米粒に対する空隙の割合を変化させたモデルを構築し、本モデルの適用範囲を検討すると共にMW加熱における空隙の影響を検証する。
【方法】市販包装米飯を切断済みの容器トレーに充填し、電子レンジで加熱したのち赤外線放射温度計を用いて試料断面を撮影した。また、光ファイバー温度計を用いて容器内の試料温度を計測した。電子レンジと容器・試料の3次元要素モデル作成し、電磁界解析と熱伝導解析による強連成解析による加熱シミュレーションを行った。 米飯の空隙率はμX線CTを用いて測定した。
【結果・考察】見かけ均相モデルによる米飯のMW加熱シミュレーションは実測温度と概ね一致したことからモデルの妥当性が示された。市販包装米飯の空隙率32%よりも小さい空隙率26%においても本モデルが適用可能と言える。また、空隙の割合が少ないほど米飯の温度変化は緩やかに進む傾向となった。これより、米飯のMW加熱において空隙率は加熱特性に影響することが確認できた。今後、異なる食品形状である米飯を想定したMW加熱シミュレーションを構築し、様々な食品への適応を検討する。