日本調理科学会大会研究発表要旨集
2024年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-3
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グルテンフリー米粉パンの品質に及ぼす材料の影響
*ぺミカ ヤオム朋子 松浦圭子 柴田
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抄録

【目的】近年、小麦アレルギーやセリアック病の患者数の増加により、GF(グルテンフリー)製品の需要が高まっている。パンは最も一般的に食べられているベーカリー製品だが、GFパンは膨化や食感が悪いなどの問題がある。本研究では米粉を用いたGFパンの品質および嗜好性に及ぼす材料の水、食塩、油の添加量の影響を調べ、GFパンの最適な調理条件について検討した。

【方法】本研究では3つの材料の添加量(粉重量に対して)の検討-水量(80-110%)、食塩量(0-1.5%)、こめ油量(0-10%)を行った。パン用米粉(ミズホチカラ)を使用し、生地の混合撹拌にはホームベーカリーを用いた。生地530gをパンケースに入れ、オーブンの発酵モードを利用して40℃で発酵させた。その後、200℃で30分間焼成した。生地の特性は粘度および膨張率を評価した。パンの特性評価として、比容積、力学的物性、水分含量、水分活性、断面観察、SEMによる気孔構造の観察を行った。また、官能評価によりパンの特性や嗜好性を評価した。

【結果・考察】水量の検討では、水量90%でパンの比容積や高さが最も高値となり、官能評価ではキメが細かく、やわらかいと評価された。食塩量検討の結果から、食塩の添加量が増加するにつれて、細かい気泡が増加し、パンの比容積が高値となり、圧縮応力(かたさ)は低下する傾向がみられた。官能評価では、塩味と食感において1%の食塩量が最も好まれた。パンの品質と食味評価より塩1%が適当と考えられた。油量の検討の結果からは、油の添加量が増加することにより、生地中の気泡が細かく均一になったことで、パンのキメが細かくなった。また、パンの老化が抑制される傾向も認められた。

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