日本調理科学会大会研究発表要旨集
2024年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-19
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食品ロス削減に向けた家庭で加工できる熱乾燥セミドライミニトマトの評価
*久保 加織井手 駿真森 太郎
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抄録

【目的】家庭での食品ロス削減に向けた具体的な方策として熱乾燥に着目した。本研究ではミニトマトの熱乾燥による変化を分析し、その有効性を評価した。

【方法】試料には、大津市内のスーパーマーケットで購入した滋賀県産ミニトマトを使用した。試料を赤道面に垂直に切断し、一方を生試料とし、もう一方を110℃に熱したオーブンで110分間加熱してセミドライミニトマトに加工し、熱乾燥試料とした。水分は常圧加熱乾燥法により、リコピン、β-カロテン、グルタミン酸、グルコース、フルクトース、クエン酸、リンゴ酸を高速液体クロマトグラフを用いて定量した。官能評価は大学生31名を評価者として、熱乾燥試料の酸味、甘味、味の濃さ、粘度、青臭さ、フルーティーな香りを生試料を基準とした相対評価により、味、食感、香りの好みを絶対評価により、いずれも5段階評点法で行った。

【結果・考察】水分を除く分析したすべての成分で試料重量あたりの含量は熱乾燥試料で生試料より高かった。乾物重量あたりの含量は、グルコースとクエン酸では熱乾燥試料で低かったが、その他の成分では熱乾燥試料と生試料で同等であった。官能評価では、熱乾燥試料は生試料より酸味、甘味、味の濃さ、粘度を強く、青臭さを弱く感じた評価者が多かった。多くの評価者が「好き」、「また食べたい」と回答したが、「また食べたい」という回答は、味の好みとの相関が特に高かった。以上のことから、ミニトマトの熱乾燥による成分変化は大きくなく、熱乾燥したセミドライミニトマトは、栄養価や機能性が期待できる生のミニトマトとは異なる味わいを楽しめる食品であると判断した。熱乾燥は家庭での食品ロス削減対策に活用できる可能性が示唆された。

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