【目的】調理科学会特別研究「多様な調理法と家庭料理の伝承」に関する調査において,普及が進むIHコンロに着目し,その使用割合やコンロの違いによる調理機器・器具の使用状況,調理頻度等について分析することを目的とした.【方法】九州支部は8県の大学・短大等に在籍する学生2,127人を対象にGoogle Formsを用いたWeb調査を行ったところ,有効回答数は1,075であった.現在使っているコンロがガスコンロかIHコンロかで2群に分け,調理頻度,住居形態,家族構成,調理機器・器具の使用状況,料理別の調理状況,食生活状況・意識における群間による違いを比較・検討した.2群間の比較ではIBM SPSS Statistics ver.29を用い,χ2検定により解析を行った.統計的有意水準は5%,両側検定とした.【結果】ガスコンロを「今住んでいる家で使用している」と回答した者は(52.6%),IHコンロを「今住んでいる家で使用している」と回答した者は567名(52.7%)であった.本調査の全国の結果と比較すると,九州はIHコンロを使用している割合が高いことが示された.2群間の比較では,土鍋,中華鍋,すり鉢・すりこ木において,「今住んでいる家で使っている」と回答した者の割合は,IHコンロ群に比べガスコンロ群が有意に高かった.土鍋及び中華鍋はIHコンロに適していないことが影響していると考えられる.料理別の調理状況では,「おもに家で作る」と回答した者の割合が,巻き寿司や茶碗蒸しでガスコンロ群よりIHコンロ群が高かったが,ほとんどの料理で差は見られなかった.調理頻度及び食生活状況・意識では,群間に差は見られなかった.