日本調理科学会大会研究発表要旨集
2024年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1C-7
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味覚センサーを用いたにんじんの遊離糖への応答性の検証
*曽矢 麻理子小林 三智子
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抄録

【目的】近年、生体の味認識メカニズムを模倣した味覚センサーを使用して味を数値化する研究が盛んに行われている。非イオン性物質である糖類の測定にはGL1センサーを用いるが、イオン性物質を測定する他のセンサーと反応のメカニズムが異なるため、特異的な応答が見られないことがある。その原因の一つに試料の調整方法が考えられるが、研究報告は少ない。そこで本研究では、にんじんを用いて試料の調整方法の違いによるGL1センサーの応答性を検証することを目的とした。

【方法】加熱温度の異なるにんじん(すりおろし生、加熱ピューレ3種;120℃・140℃・160℃)を試料とした。各試料はHPLCにて糖含有量を測定後、下記の通りに調整した。①試料を5倍に希釈し、ミキサーで撹拌後、遠心分離した上清、②①をPVPP処理(渋味物質の除去)、③①の希釈倍率を2倍に調整、④①の希釈倍率を3倍に調整、⑤①の上清を超音波処理、⑥①をミキサー撹拌後超音波処理し、遠心分離した上清。これらの試料について味認識装置を用いてGL1センサーによる測定(測定回数5回、室温)を行った。

【結果・考察】①~⑤までの方法では、糖含有量の少ないすりおろし生への反応が最も高く、糖含有量の多い加熱ピューレに対しては糖濃度と同等の反応は見られず、すりおろし生よりも低い反応となった。⑥ではいずれも糖濃度と同等の反応が見られたため、加熱ピューレでは、超音波処理工程を加えることで糖が溶液中に遊離し、GL1センサーへの反応が得られることが分かった。また、にんじんの渋味物質によるGL1センサーへの影響はなく、希釈倍率も5倍で妥当であると示唆された。

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