主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2024年度大会(一社)日本調理科学会
回次: 35
開催地: 鎌倉女子大学
開催日: 2024/09/06 - 2024/09/07
【目的】食品のおいしさを捉える方法として、回帰分析によって官能評価結果を分析値で説明する手法がある。しかし未知の試料に対して回帰モデルを当てはめると誤差が生じる。この誤差が生じる原因を判別し対処することがおいしさをより正確に捉えるための課題と考えている。今回、清酒についての官能評価結果を解析したところ、誤差が大きい試料の特徴を整理できたので、その手順と結果を報告する。【方法】試料は清酒466品を用いた。官能評価は専門員1人の評価結果を用いた。項目は総合評価、香り・吟醸香以外の香り・甘味・酸味の強さ、辛口―甘口・淡麗―濃醇の程度の7項目とした。また自由記述形式で特徴を表すコメントを収集した。説明変数には清酒の品質を表す一般的な分析値(12項目)を用いた。さらに特徴量生成により説明変数を補完した。回帰分析にはランダムフォレストを適用した。396品で回帰モデルを作成し、残りの70品で予測精度の検証を行った。予測精度はMAEとadjR2を指標とした。最終的に得られた予測値と実測値についてクラスター分析を行い、誤差の大きい試料の特徴に関してコメントの解析を行った。【結果・考察】予測精度の平均はMAE 10.98, adjR2 0.50であった。予測精度の低下の要因となる誤差の大きな試料は特定の評点の間に集中しているといった傾向が確認できた。これらの試料をクラスター分析により分類し、コメントに表された特徴を集計したところ、丸い、キレイ、甘味強い、酸味強い、渋い、欠点香がある、コゲ臭、後味が悪いといった用語が抽出された。予測精度の向上にはこれらの特徴を捉えた分析値を補うことが重要であると示唆された。