日本調理科学会大会研究発表要旨集
2024年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1A-3
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パン生地への油脂の添加が焼成したパンと模擬食塊の特性に及ぼす影響
*池ヶ谷 篤
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キーワード: パン, バター, 油脂, 食塊
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抄録

【目的】

 食パンは水分量が少ないことから、唾液の分泌量が低下した高齢者等にとっては食塊形成が難しくなり、食べにくいことが予想される。バター、マーガリン等の油脂系スプレッドを食パンと同時に摂取することは、食塊の物性を改善するために有効であるが、あらかじめパンに油脂を多く混ぜることによって、食べやすさを向上させることを検討した。

【方法】

 以下の3種類の条件でパンを焼成し、焼成したパンの特性として体積、重量、水分率、クラムのテクスチャーを測定するとともに、焼成したパンのクラムを用いて模擬食塊を調製し、物性を評価した。

1:小麦粉に対して0~15%の割合でバターを添加し、パンを焼成。

2:バター、マーガリン、ショートニング、牛脂、ラード、ココナッツオイル、キャノーラ油を小麦粉に対して5%の割合で用いてパンを焼成。

3:キャノーラ油に12-ヒドロキシステアリン酸を混合し、一度加熱して固化させたものと、混合させただけで液状のものをそれぞれ添加してパンを焼成。

【結果および考察】

 その結果、バターを5.0%添加することにより、焼成したパンのクラムおよび模擬食塊は軟化した。しかしながら、模擬食塊はバターの添加量を5.0%より増やしても、模擬食塊の物性が変化することはなかった。一方、パン生地に添加する油脂が固体の脂か液体の油であるかによって、膨張の程度は大きく異なり、固体の脂を添加することで、パンは大きく膨張し、クラムは柔らかくなった。固形化したキャノーラ油と固形化していないキャノーラ油を使ってパンを焼き、比較した結果、固形化したキャノーラ油は、液状のキャノーラ油よりも有意にパンを膨張させたが、クラムの硬さには差がなかった。

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