日本調理科学会大会研究発表要旨集
2024年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-28
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高内相乳化物の利用による植物性食品の食味・物性改善効果に関する検討
―クリームコロッケを題材として―
*シャカットプラカート ソンボン富 研一鈴木 真人芦田 祐子杉浦 仁志佐藤 亮太郎石川 伸一
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抄録

【目的】 高内相乳化物(以下HIPE: High Internal Phase Emulsion)の利用により、食品に対しコク味を付与しつつ、油脂特有のしつこさが抑えられることが明らかになってきた。大豆たん白を乳化剤としたHIPEを作製し、植物性食品(PBF; Plant-Based Food)に適用することによって、PBFにおいて課題となっている満足感の不足 を補える可能性があると考えた。本検討では、PBクリームコロッケを対象とし、HIPE利用による食味・物性改善効果について評価を行った。

【方法】 大豆たん白加工素材(MIRA-MAP2.0、不二製油(株)製)水溶液を供試した。フードプロセッサーで撹拌しながら、食用油脂を85質量%となるよう加え、HIPEを得た。これをベシャメルソースに適用し、PBクリームコロッケを試作した。HIPEを用いず、大豆たん白と食用油脂との混合物をネガティブコントロール、動物性の通常品をポジティブコントロールとした。色調については色差計を用いてホワイトネスインデックス(WI)を評価した。ベシャメルソース内の油分の存在状態は顕微鏡観察と粒度分布測定によって、硬さや粘性は動的粘弾性測定によって評価した。官能特性については、分析型官能評価により可視化を試みた。

【結果・考察】 PBクリームコロッケのベシャメルソースは、動物性と比較してWIが低く、濃厚感が低いといった風味特性が確認された。一方、HIPE入りPBクリームコロッケにおいては、ベシャメルソースのWIが改善した。顕微鏡および粒度分布により油滴の存在状態を確認した結果、より複雑な分散状態が確認され、特徴的な口当たりへの寄与が示唆された。以上より、HIPEはPBFの課題を克服する上で有用であると考えられる。

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